愧為読書誤一生

ブログという名の読書ノート

アメリカ・イギリス文学

カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」

ドレスデン爆撃とは、第二次世界大戦末期の1945年2月13日から15日まで英・米連合軍によって行われた、ドイツ東部の都市ドレスデンへの無差別爆撃である。死者数には諸説あり、著者のカート・ヴォネガット・ジュニアは『広島をうわまわる規模』と書いているが…

フォークナー「アブサロム、アブサロム!」

アーネスト・ヘミングウェイとウィリアム・フォークナー。共にアメリカのロストジェネレーション世代を代表する作家である。 ヘミングウェイは記者として第一次世界大戦・スペイン内戦に積極的に関わった。世界中を飛び回り、その経験を下地に小説を書いた。…

ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」

物語の核をなす手記の書き手である女性は、住み込み家庭教師の広告に応募した。広告主は両親を亡くした甥と姪の後見人になっている。その兄妹の住む田舎の屋敷に、家庭教師を兼ねて責任者として赴任してほしいとの依頼だった。条件は「主人(依頼者)を絶対…

ヘミングウェイ「日はまた昇る」

第一次世界大戦後のパリには、アメリカの画家や詩人、作家などの芸術家によるコミュニティが形成されていた。多くは酒に溺れた自堕落な生活を送っており、彼らのためにサロンを開いていたガートルード・スタインには、ロストジェネレーション(自堕落な世代…

ジョージ・オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」

ジョージ・オーウェルが、パリとロンドンの貧民街での生活を綴ったルポルタージュ文学である。 オーウェルは努めて客観的にこの経験を記録している。そのため、貧民に対する考えなどは時折語られているが、自身の境遇などはほとんど書かれていない。なのでオ…

ヘミングウェイ「清潔で、とても明るいところ」

ごく短い短編である。 午前二時ごろのカフェでは、テラスで一人耳の聞こえない老人がブランデーを飲んでいる。ウェイターの一人は、早く店じまいをしたいがために、老人のおかわりを断って帰らせてしまう。年上のウェイターがそれを非難する。 『「おれも、…