愧為読書誤一生

ブログという名の読書ノート

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

芥川龍之介「玄鶴山房」

家の主人である堀越玄鶴は肺結核にかかり、看護婦を付き添いに、離れで床に就いている。茶の間の隣で、腰が抜けてこちらもやはり床に就いている姑のお鳥、そして娘と娘婿、その子供と女中が共に暮らしている。 静かで、どこか陰鬱なこの家に、玄鶴が囲ってお…

三島由紀夫「椅子」

三島由紀夫は祖母の部屋で育てられた。病弱な祖母は、この孫を外に出すのを嫌がり、自分の枕元で音をたてずに静かにさせておいたのだ。短編の前半は、この当時の母親の手記からの引用で占められている。 『「朝から午後まで、うす暗い八畳の祖母の病室にとじ…