愧為読書誤一生

ブログという名の読書ノート

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

絶対の真理〈天台〉 仏教の思想Ⅴ

天台宗は、中国の南北朝時代から隋にかけての僧侶である智顗を開祖とする。妙法蓮華経(法華経)を根本経典とし、天台法華とも呼ばれる。 智顗は法華経を元に、独自の教説を二つ唱えた。一念三千と三諦円融である。 一念三千は、天台における世界観である。…

ウラジーミル・ソローキン「青い脂」

『一月二日 やあ、お前。 私の重たい坊や、優しいごろつきくん、神々しく忌まわしいトップ=ディレクトよ。お前のことを思い出すのは地獄の苦しみだ、リプス・老外、それは文字通り重いのだ。 しかも危険なことだ――眠りにとって、Lハーモニーにとって、原形質…

認識と超越〈唯識〉 仏教の思想Ⅳ

インドで生まれた唯識思想は、西遊記で有名な三蔵法師玄奘の漢訳仏典により、日本に紹介された。唯識思想は、日本仏教の出発点である。 唯識とは、ただ表象があるのみで、外界の存在物はないとする思想である。我々が目の前のコーヒーカップを見るとき、そこ…