愧為読書誤一生

ブログという名の読書ノート

2016-01-01から1年間の記事一覧

モリエール「人間ぎらい」

フランス貴族たちの社交界を舞台とした戯曲。 主人公のアルセストは社交界を憎んでいた。本人の前ではお世辞を並べ立て、いなくなると悪評の噂に悪口三昧…。そんな俗物たちにうんざりしていたアルセストだが、なぜかそれらの中心人物である未亡人セリメーヌ…

筒井康隆「霊長類 南へ」

あとがきには最終戦争SFと書かれている。終末SFという言い方もあるが、要するに世界の終わりを描いたものだ。このテーマで書かれた小説は無数にあるのではないか。それほど書きやすいテーマであるのだが、そこは筒井康隆である。ありきたりな内容になる…

ジョージ・オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」

ジョージ・オーウェルが、パリとロンドンの貧民街での生活を綴ったルポルタージュ文学である。 オーウェルは努めて客観的にこの経験を記録している。そのため、貧民に対する考えなどは時折語られているが、自身の境遇などはほとんど書かれていない。なのでオ…

手塚治虫「ばるぼら」

耽美主義をかざして文壇にユニークな地位をきずいた流行作家、美倉洋介。彼は生まれながらの異常性欲に苦しめられていた。 『この薄汚れた太平楽に浸って何にふるい立てというのだ ショパンは祖国の危機を叫び ルネ・クレマンはレジスタンスに加わった いま…